カラヤン指揮、ベルリンフィルによるベートーヴェンの9つの交響曲のレコード。
- 作品名: Beethoven 9 Symphonien
- 指揮者: Karajan
- オーケストラ: Berliner Philharmoniker
ご覧いただきありがとうございます。
この1975〜77年のベートーヴェン全集と75〜81年にかけてのブルックナー全集ほどCDの音が良くないグラモフォン・カラヤンも珍しいと言えます。濁り曇って、全く精彩を欠いています。その点、レコードは豊かなピラミッド型サウンドで楽しめます。
この国内盤は素晴らしい保存状態です。
すれキズやカビ、皮脂、指紋だらけの一般新品とは次元の違うクオリティ。
1975〜77年、カラヤン&ベルリン・フィル全盛末期の記録。
カラヤンがベルリンフィルを極限まで磨き上げ、自家薬籠中の物にした流麗かつ壮大な2回目の全集。
「氷上を滑走する重戦車」(作曲家・柴田南雄氏の批評より)の趣きが圧倒的です。
あるいは、メルセデスの乗り心地にも比肩すると言って良いかも知れません。
いずれにせよ「人間不在というドイツ現代社会の歪み」を、感情表現の入り込む余地さえない流線型演奏スタイルで表現してみせたカラヤンの才能を故・柴田南雄は《トリックスター》だと見事に看破したのです。
9曲の中では「英雄」のヒロイックな覇気、「運命」の劇性、「田園」の崇高美、7番の熱情が傑出した名演奏です。
「人間疎外」の寂寥たる砂漠のような現代社会をベートーヴェンを下敷きにマスプロダクトされる工業品のようなツルツルスベスベした音楽演奏で表現しえたカラヤンは、まさに「21世紀の巨匠」、「時代の申し子」であったと評せます。
好き嫌いはあるものの、やはり避けては通れないベートーヴェン演奏のエポックです。
カテゴリー:
CD・DVD・ブルーレイ##レコード##洋楽